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それでもやる、生きていく。【プロフェッショナル宮﨑駿監督回】

www.nhk.jp

 

大好きな宮﨑監督のドキュメンタリー映像。

胸がいっぱいになりながら見た80分になりました。

 

最新作が公開されてから、沢山の人たちによる解釈、考察を見たし

いろんな雑誌による沢山のスタッフさん、鈴木敏夫プロデューサー、声を担当されたキャストの皆さんによる宮﨑監督のエピソードも見た。

 

でも私はずっと宮﨑監督本人の口から

どういう気持ちで、思いで、今回の最新作を作って描いていったのかがずうっと聞きたかったので

その答え合わせをさせてもらえたようで、まずはそれがとても嬉しかったです。

 

そして相変わらず机に齧り付いて、鉛筆を走らせながら

「めんどくさい」「めんどくせぇぞ」と貧乏ゆすりしながら絵コンテ描いてる宮﨑監督を見て

とっても安心した。制作風景がまるで変わってない。相変わらずのご様子。

 

私にとって多大なる影響を与えてくれたこのひとも、いつかはお星様になってしまう

考えたくないけど、でもいつかはその日が来てしまうことを

数少ない宮﨑監督の近況を示すお写真などを見て

「なんか少し痩せたのかなぁ」「頬が痩けたんじゃないのかなぁ」と年齢が重なっていくことの変化を感じざるを得なかった最近だったので

 

相変わらず姿勢正しくシャキシャキ歩きながらお散歩している姿や

大きく振りかぶって薪を割ってる様子、絵コンテに立ち向かっている姿を見て

老いは確かに迫ってきているだろうとは思うけれど、でもお元気そうだ、ということにとても安心してしまった。

 

本当に、生命力に溢れた方だなぁと思う。

 

 

そして「君たちはどう生きるか」を見て、私は宮﨑監督のご両親への気持ちの決着をつけたテーマが大きいのかな、と勝手に思っていたけれど

今回のプロフェッショナルを見て、実は亡くなられた高畑勲監督への決別の方が、かなり苦しまれていたのだな、と感じた。

 

www.cinematoday.jp

「55年前にあの雨上がりのバス停で、声をかけてくれたパクさんのことを忘れない」

 

多分、もう少し一緒にいられると思っていたから

突然の高畑監督の逝去に、悲しみよりもまずは先に驚きが占めていたのかな、とも思ってしまった。

心の準備なくお別れが来ると、驚き→時間がかかって→ようやく悲しみという順番になりますよね。後になってようやく感情が追いついてくる。

 

大切な人の死って、無理やり決着をつけることではなくて

時間をかけて、自然に、流れに身を任せて、ゆっくりそれが解けていくのを待つものなのでは、と私は思っているのですが

 

今回の作品に、高畑監督を落とし込んで決別を図り、

苦しみ、葛藤しながら、頭を掻きむしりながら

1ヶ月、鉛筆が止まりながらも、描けなくなりながらも

大切で大好きな高畑監督との区切りを敢えて自らつけた宮﨑監督を見て

 

そりゃ苦しいし、辛いし

でもまさしく「君たちはどう生きるか」という

宮﨑監督の生き方を示されていて

 

この映像を見てから今作を見たら、また見え方や受け取り方は全く変わってくるだろうなと思った。

 

そして、だからこの人の作る作品が好きなんだよなぁと思った。

 

切り刻まれるような思いをしながら「それでも生きていく」という

生半可ではない生き方を監督ご自身がされているから

作品にもそれが投影されていて、勇ましくて、血生臭くて、凄まじい。

 

お前もできるか?と言われたら絶対できない

だからこそのあの唯一無二性。

 

今の時代、ハードモードすぎて

「希望を持って生きていこうよ」なんてメッセージでは、到底人を奮起できない

そんなもんでは、この世の中生きていけない

 

だから苦しくて、辛くても、それでも生きていく

「それでもこの世界は生きるに値するんだ」という宮﨑監督が一貫して当初から子供達に伝えたいと言っていたメッセージを

まさしく体現されている宮﨑監督の映像に、涙が沢山溢れました。

 

「パクさんと会って、話がしたい」

お散歩しながら「パクさん、出てきてください」

「そっちはどうですかっていう話を、聞きたい」

 

とずっと高畑監督のことを思って口ずさむ宮﨑監督。

本当に大好きなんだな、底知れない敬愛だったんだな、と思わずにはいられなかったし

 

そしてそんな高畑監督から宮﨑監督はバトンを受け取って

そんな宮﨑監督からさらなるバトンを受け取った人が

きっとこの世界中に沢山いる。米津玄師さんもきっとそのお一人。

 

「恥ずかしくなるくらい影響を受けて生きてきて、自分にとって北極星のような存在です」

 

と映像の中で話す米津先生を見て、なんて美しいんだろうと思って

そんな米津先生も沢山の人にとっての北極星だよ、と思った。

 

こんなにも辛くて苦しいのに、創ることをやめられない宮﨑監督の姿を見ていると

まるで呪いのようにも思えて

でもそれでも創って生きてゆく姿が生々しくて、

 

「幸せになるために生きているんだと思う?僕はそうとは到底思えない」

と以前インタビューで答えていた宮﨑監督

 

宮﨑監督自身の存在や発言、魂そのもので生きている姿さえも

作品だけではなく、これからも沢山の人に影響を与え続けるのだろうなと思いました。

 

約6年半もの長い密着を80分にまとめるのは大変なことだったろうと思いますが

素敵な映像を放送してくれて、本当に感謝で胸いっぱいです。

見れてよかったです。

これからも沢山見返すことになる映像だと思いました。

素晴らしかったです。

 

宮﨑監督がやっぱり大好きです。